日本医科大学付属病院 高度救命救急センター 研修報告【Part.2】
大分中村病院 脳神経外科 石原 学(卒後5年)
私は5日間(夜間1日)という短い間でしたが、スタッフの一員として救急医療に当たらせていただきました。ERやICUという医療体制は今まで経験しておりますが、日本医科大学救命救急センターのような自己完結型は経験したことがありません。初めて目の当たりにする自己完結型医療は新鮮であり、かつ高度医療を実践しているスタッフの皆さんに尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。今回、研修で得られたことを今後の医療に役立てていきたいと思います。この度の研修でお世話になりました横田裕行先生、宮内雅人先生、直接ご指導いただきました新井正徳先生をはじめ日本医科大救命救急センターの皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。またこのような機会を設けて下さいました徳島大学卒後臨床研修センターの皆様に厚く御礼申し上げます。
以下に研修期間中に私が経験しました症例・手技に関しまして、個人的な感想を加えまして報告いたします。
●広範囲熱傷
体表面積の約40%の熱傷。創部を毎日洗浄した。鎮静の上、気管内挿管し人工呼吸管理を行っていた。スタッフより「重症熱傷は全身管理の全てが詰まっている」との言葉が印象的。研修期間中は目を覚ますことはなかったが、あと数週間もすれば歩いて売店にも行けるようになるとのこと。
●重症熱中症(Ⅲ度)
意識障害、高熱で搬送。意識障害の鑑別を行った後、熱中症と診断。治療は補液、クーリングでとにかく冷やす。実はこの症例で熱中症にも詳しい分類があり、かつ治療方針も細分化されていることを知った。今の病院でこの症例を活かして臨床に当たっている。
●転落、心肺停止、開胸心臓マッサージ
高所より転落し救急搬送時に心肺停止であった。頭部に明らかな外傷がなかったため、開胸心臓マッサージを救急処置室で施行した。正に高度救命救急という印象であった。救命を目的にスタッフが一丸となって搬送されたその場であらゆる処置を行っていた。
その他 頚部刺創(救急処置室で処置、顔面静脈の結紮)、消化管出血(ショック状態、救急処置室で処置)、頸椎損傷、骨盤骨折(経皮的動脈塞栓術)、脳出血、くも膜下出血(開頭ネッククリッピング術)、急性医薬品中毒などといった多くの症例、処置を経験いたしました。