「第9回形成外科病理組織セミナー」を開催しました
平成26年9月19日、日本医科大学武蔵小杉病院安齋眞一先生をお招きして第9回形成外科病理組織セミナーが開催されました。
今回は、「皮膚外科で扱うことの多い疾患(色素細胞病変および軟部腫瘍を除く)」というテーマで、臨床の現場で手術的治療を行う機会の多い良性上皮性腫瘍、すなわち「脂漏性角化症」、「尋常性疣贅」、「毛母腫(石灰化上皮腫)」、「汗孔腫」や嚢腫(表皮嚢腫とその関連疾患)について講演頂きました。いずれも外来で診療することが多く、しばしば手術を行ってきている腫瘍ばかりですが、その病理組織所見について理解が曖昧な部分が多いと感じました。紹介された前医の所見や臨床所見のみで手術を行い、その後の病理組織所見を良性、悪性のみでその特徴をfeedbackすることがなかったことがその要因であったかもしれません。また、最近の皮膚科の見解により病名がかわる(石灰化上皮腫→毛母腫)ことも学びました。また、病理組織所見よりわれわれが習慣的におこなっていた治療の矛盾(炎症性アテロームに抗生剤内服)も知ることが出来、有用でした。
皮膚病理は、他の臓器の病理と違い、上記のように臨床所見とリンクして考えないといけない場面が多く、実際に診断、治療するわれわれ形成外科医が様々な皮疹の病理組織を知って、病態と組織所見との関連を理解しておくことは非常に有用であると感じました。