「褥瘡対策室勉強会」開催しました

日 時:2024年10月24日(木)17時30分~18時30分
会 場:日亜ホールwhite(大)
講 師:医療法人愛生館 小林記念病院 古田 勝経 先生
   (日本褥瘡学会・褥瘡・創傷専門薬剤師)
内 容:薬剤師からみた褥瘡の外用薬治療~フルタ・メソッド~

【実施概要】
 以下の内容について、古田勝経先生より講義がありました。
 外用薬は薬効成分+基剤からなっており、基剤は外用薬の95%以上を占める。褥瘡を改善するためには基剤による水分コントロール(湿潤調節)が重要であり、滲出液に応じて、基剤特性を調整したブレンド軟膏を作成し、湿潤状態を適正化する。使用している薬剤の基剤によっては、すぐに溶けだし、薬剤滞留性が維持できていない場合があるため、24時間後の溶け具合を見て判断する。創部に死腔を作らないことが大切である。カデックス、ヨードコートは吸水性が弱く、ユーパスタ+デブリサン(輸入中止)は吸収力が良い。吸水クリーム+ソルベース(3:7のブレンド)は肉芽増殖と上皮化を促し、スキンテアの創傷に効果的である。深い褥瘡については補水しながら壊死を溶解することが重要であり、スルファジアジン銀、ブロメライン(1:1のブレンド)ヨードホルムガーゼを使用する。ヨードホルムガーゼは徐放作用があり、壊死した靭帯や腱の自己融解を促進させる。褥瘡はずれによりポケットを形成し、悪化するため、ベスキチンWAを使用し、創内固定を実施する。創周囲のカビはアスタット軟膏+リンデロンVG軟膏を塗布することで改善する。
 小林記念病院では、湿潤調整と基材調整によるブレンド軟膏の使用、適切な薬剤滞留の維持と創部の固定、適切な感染制御と清浄化の維持を行い、ガーゼ交換は週3回で、洗浄を最小限とすることで省力化、コスト削減が図られている。

【成果】
 褥瘡の外用薬を使用する場合には、基剤の特性を知ることが重要であり、創の状態や薬剤の滞留が適切に行われているかどうか確認し、褥瘡の薬剤を選択する。「基剤」自体を直接使用することは今までなかったため、医師や薬剤師と相談し、湿潤調節を保つため創部に合った薬剤を検討する。必要があれば、吸水と補水に適したブレンド軟膏等の使用の検討を行う。洗浄については、創の状況や、Wound hygieneに適切な軟膏が選択できているかアセスメントがまず必要であり、洗浄にも論文によるエビデンスがあるため、当院では今まで通り継続が必要であると思われる。褥瘡のポケットがずれないように、死腔をなくす、内部固定を実施することは有効であると思われるため、症例があれば多職種で検討を行う。